【タイトル未定のブログ】

ものぐさな人のある日の出来事だったり。

 ここの人、走る。 三度。

 
 まさか三年連続で参加するとは自分でもちょっと驚きです。 何かというと「愛媛マラソン」に、です。
 いやいやいや、ラソンとか苦手でしょう自分! いったいどーしちゃったの!? セルフツッコミですよ!
 
 それはさておき、参加が決まった昨年の秋。 それ以前から何となく走ってはいましたけど、フルマラソンに参加が決まった以上はリタイアはしたくない、との思いでペースや姿勢を見直しながら走るように。 ついでにテーピングとストレッチも素人なりに見直しました。
 過去二回とは違って割と早いうちに走り込みを始めていたので、余裕を持ってその距離を伸ばすことも出来たヽ(´∀`)ノ 最終的には8kmは走れるようになった。 少ないとお思いでしょうが、実は去年まで8km走るとか言ったら1時間以上は掛かった上に息は切れ切れ、腰や足の裏に痛みが出るぐらいだったんです。 それが、今年はそんな症状が出るなんてことは一切無くて、所要時間も1時間と1分前後で割と余裕アリ。
 調子としては良さそうだったんですが、ここで気になる点が浮上してきました。
 
 過去二回を共に走り抜けたランニングシューズ、ソールを眺めると意外と摩耗してるのに気づいたので買い替えたは良いものの、新しいシューズがどうにも足に馴染まない。
 ちゃんと店員さんに足のサイズを測ってもらって、「じゃあ、これぐらいのサイズなら良いんじゃないでしょうか(断定しないのがミソ」と教えられたサイズのシューズなのに、踏み込んだときにキツく感じる。
 靴紐は標準より長めの物に交換したので紐のせいじゃなさそう。 やっぱり甲高の足だからかなぁ(後日、メーカーサイトで調べてみたら甲周りが、標準より広めのモデルが発売されているのを知りました)。
 とはいえ、安い買い物でもないし、こりゃダメだ、っていうほどでも無いので今回はこのシューズで走ることにします。 コレが一つ目の不安材料。
 
 マラソン開催日が近づくにつれて不安を煽り立ててきたのが「天気」でした。
 過去二回は晴れ。 今回は曇りの予報が一週間前から出てました。 降水確率も40%と、何とも微妙な数字。 それが開催二日前になっても変わらずなんですから。
 雨の中でマラソン……気温も低いだろうから体温が奪われるのは必至。 一応ウィンドブレーカーは持ってますけど、耐水性はどれほどだろうか。
 結局前夜の予報では「曇りで降水確率30%」とのこと。 時系列予報で調べてみると6時〜9時の間に雨マークが付いてます。 で、15時頃に晴れマーク、と。 さらに追加情報として「風が強い」とも。 どれぐらいかな、と思ってたら「風速10メートル以上」のマークが付いてるじゃないですかーヤダーヽ(`д´)ノ
 おいおいおいー、気温も10度を超えないって言うし(これぐらいなら走るにはちょうど良いんですが)、曇りな上に雨の予報、トドメに強風とか――日頃の行い、問題あったっけ(´・ω・)?
 二つ目の不安材料がコレですよ。
 
 当日朝。 今にも泣き出しそうな黒い雲が空を覆っています。 ところどころに灰色の雲があったりして「全天雨雲」、じゃないのが救いです。
 う〜ん、去年は石原良純さんがゲストランナーに来てて「晴れましたね! 僕のお陰です!」なんて言ってたけど、アレは伊達じゃ無かったんですなぁ。
 とか思ってたら、今年も来てるじゃないですか石原さん! どーしたんですか、そんな暖かそうな格好して!
 
 
 
 今年はまさかのコメンテーターですって。 知事と市長は走るって言うのに。
 ゲストランナーは二年ぶりに参加の「高橋尚子」さんと、趣味にマラソンを持つという「ひうら姉妹」さんが来て下さってました。
 趣味にマラソンとか……僕にはちょっと分からない趣味です(今日、その場に居る人間が思うことじゃないか
 
 時折、雲に光を遮られた太陽が丸い姿を空に浮かべたりしながら、それでも雲の流れは早くて、ポツポツと水滴が降っては止んで、拭いきれない不安を抱えたままスタート。
 ペースは普段の走り込みよりかは遅くして、後半に体力を温存しておきたいところ。
 ポツポツと降っては止んでを繰り返す程度の空模様は4kmほど走ると西の方に青空が見えてきたし、太陽も光を浴びせてきました。 おぉ、このまま晴れてくれるのか、良かった良かった……なーんて、いかなかったんですよ(ノ∀`)
 10kmを越えた辺り、いつの間にか雲が広がってました。 まさかと思って西の空を見ると、明らかに「Hey! 今から雨をお届けするYo!」な感じのどす黒い雲が見えてるじゃないですかー! できれば、海上で雨を降らし尽くしてくれたら嬉しいんだけどなァ!
 
 物の数分でそんな希望は打ち砕かれたわけですが。
 雨です、雨。 それも小雨じゃなくて傘必須なほどの。 強風のオマケつき。 どれぐらいの強風かというと、沿道で応援していた人の傘がガバッとパラボラアンテナ状になってしまうぐらい。
 給水エリアでは、紙コップが飛んでいってしまい、水分を摂りたくても待たなければならなかったり。
 これは、予想以上に厳しいマラソンになりそう……いや、なるな(確信)。
 ほぼ横殴りの雨は走る姿勢を乱し、体温を奪い、速度を落とそうとしてきます。 とはいえ、そんな事は予想してたし装備が無くても覚悟で乗り切るしかないんです。
 
 だが、さらに予想外の出来事が。
 だいたい僕の速度では20kmを超える辺りでお腹が空いてくるわけです。 時間もそんな頃合い(いわゆるお昼
 コース上にも、その距離ぐらいから給水&給食ポイントが何ヶ所か設置してある――はずだったんですが、各ポイントに行ってもあるのは水分のみ。 肝心の、後半へのエネルギーを生む食べ物が無い。 ナッシン。 確認できず。
 Σ(゚Д゚;≡;゚Д゚)!? えええぇぇぇえぇえぇぇ!!??
 ま、まあ落ち着け、ここより後にも給食ポイントはあるじゃないか → やっぱり食べ物だけありませんでしたー!
 
 ちょ、ちょ、オイ待てよ! そりゃ応援してくれる人が飴とかチョコとか、ゼリー飲料とか差し入れしてくれますけど、空腹感を満たしてくれるのは固形物なんですよね(僕としては、ですよ
 しかし、まさか肝心の給食ポイント全てで食べ物が無いとか……あ、アカン、そう思うと途端に力が抜けてきた。
 速度も低下、一歩一歩の距離も明らかに短くなってる。 踏み出す足にも力が入らない。 辛うじて止まりこそしなかったけど……これは完走できる速度じゃ、無くなってきた。 とにかく前へ。 歩いてでも前へ。 でも、力が入らないんだよな……。
 
 折り返し地点を過ぎてしばらくは歩いてました。 ちょっと走っては歩く、その繰り返し。 走る気力が続かない。
 そういやポケットには沿道の人がくれた飴があったなぁ。 それを口にしながら前進。 強い風が姿勢を崩そうとして、持ち直そうとするも体中に痛みが走ってそれも覚束ないよ。
 あ、向こうからリタイアした人を回収するバスがやってきてるじゃないか。
 ここは折り返し地点だから、反対側車線にそのバスが入ってきてるのを見て思うことは、「リタイアしよう、かな?」でした。 まだ「かな?」で済んでいたのは幸運か偶然か。
 でも、コース状に設けられている幾つかの関門、ここには制限時間があってそれを過ぎてしまってもアウト。
 
 うーん……何を考えるわけでも無く、とりあえず前進しているだけでしたがその時、沿道で応援してくれていた人が「頑張ってー! コレ、どうぞ!」と文字通り目の前に差し出してくれたのはよくあるゼリー飲料。
 お礼と共に受け取り、間髪入れずに開封
 銘柄は残念ながら覚えてませんけど(黄色っぽいパッケージだったなぁ)、これが美味い! 空きっ腹に、いや、疲労で満たされていた全身を塗り替えるように体に染み渡る! 某CMにあるように「10秒チャージ!」は伊達じゃない!
 思わず振り返りもう一度「ありがとうございます!」と礼を言って踏み出したその足は、さっきまでの腑抜けた一歩じゃなかった。 むしろ、力入れ過ぎで足の裏に響くぐらい痛かった。 が、数分前とは違う、違うよ。
 走ることが出来る! いわゆる、エネルギー、キタ━━(゚∀゚)━━!
 空腹感は残るけど、走れるようになったのは大きい。
 
 さらに走り続けているとボランティアの人が銘菓のタルトを配ってるじゃないですか。 餡をカステラ生地で包んだタルト。 確か、カステラはマラソン時に摂るのに向いている食品だと小耳に挟んだことがあります。 ありがたい。 欲張りと思われようがお構いなしに、二切れ掴み、食う! ちょっと喉が渇くけど、食う。 タルトを食っている。 タルトを補給している。
 さっきのゼリー飲料と合わさってか、さらに体に力がみなぎってくるのが分かります。 分かるんです(力説!
 しかも、そこからは前半と同じペースで走ることが出来る! 体の痛みよりも、走り続けることによる喜びや興奮のような気持ちがそれを上回ってます。
 さすがに残り10数kmを走り続けるなんてのは無理でしたけど、「歩:走=1:9」ですかね、比率でいくと。
 これが、これがランナーズハイ、とか言う状況か!?
 そんなことはどーでも良くって、今はこの奇跡の復活を活かさないテは無いヒョホー(゚∀゚三゚∀゚)ヒャホー
 
 残りが10kmを切る頃には足もあまり上がらなくなってきたみたいで、新しく買ったシューズなのに、時折地面と擦るようになったけども走るのは止まりません。 行ける、行けるぞ、完走できそうだ!
 沿道で、ハイタッチしようと手を差し出してくれる人には出来る限り応じ、声を掛けてくれたら返事もする。 それが楽しくて走ってて、いつの間にか雨雲は東の方へ流れ去り、オレンジ色の光が差してきてた。
 練習の時は一人だけど、今は、今日のこの日だけは同じ環境の人たちと走れて、それも楽しくて、自然と笑顔になれて。 競技中盤の、情けない顔を浮かべてた自分だって認めたくなる気持ちで確実にゴールに向かって走ってる。
 タイムこそ昨年には及ばないけど、また新しい感動(大げさかな)に出会えた。 愛媛マラソンに参加して良かった。
 
 そして、ゴールが見えてきましたよー、思わず顔がニヤけてしまいますが気を引き締めます。
 今回はまず、天気に翻弄されたな〜、さすがリズムを狂わされたらどうしようもないや。
 あと、参加人数の増加も一因なんだろうな、食べる物が無かったの。 また参加する機会があれば、何か持参しておかないと。
 反省点なんかを思いながら一歩一歩ゴールへ近づき、遂にそのラインを――越える!
 
 ゥオッケェイ! 三年連続完走なりぃっ!
 いや〜、三回フルマラソンに参加して、一番キツかったーぁ。 でも一番笑顔を浮かべたマラソンでもあったなぁ。
 諦めなくて良かった……本当に良かった。 沿道の応援に助けられたよー。
 

完走者へと贈られるバスタオルと完走記録証。
 
 このバスタオルも三枚目か。 うーん、感慨深いね。
 参加した人、応援してくれた人、参加したかったけど、抽選に漏れてしまった人。 みんなへ感謝!
 ではでは。